屋根の葺き替え
屋根瓦棒銅板葺「葺き替え」
屋根とち葺き「葺き替え」
廻廊の屋根は、とち葺きで厚さ2.4cm、長さ30cmの板を、8.5cmずつずらして止めています。
屋根全体に、板が割れたり、軒先が腐朽するなどの破損が見られるため、軒付を含めた屋根全面の葺き替えを行います。
塗装(ちゃん塗・丹塗・漆塗)
外部「ちゃん塗・丹塗の塗直し」
根本中堂、廻廊とも柱、頭貫(かしらぬき)より下部は「ちゃん塗り」、組物より上部は「丹塗」で塗り分けられています。
昭和29年の修理で宝永年間の古文書の仕様に基づき塗り直しており、今回もその仕様に倣って全面の塗り直しを行う予定です。
丹塗とは・・・丹〔根本中堂・廻廊の場合は鉛丹(えんたん)と弁柄(べんがら)を混ぜたもの〕を膠水(にかわすい)で溶き、木部に塗る塗装方法。
ちゃん塗とは・・・丹塗の膠水の代りに、主に油〔根本中堂・廻廊の場合は荏の油(えのあぶら:荏胡麻の種子を圧搾して得る油)、桐油、松脂を混ぜたもの〕を用いる塗装。防腐、防水効果を期待したと考えられます。
外部「漆塗の塗直し」
根本中堂、廻廊とも、建具は黒漆が塗られていますが、特に外部に面する部分は、紫外線による劣化で白く変色しているため、これら黒漆の塗直しを行います。
中陣・外陣「漆塗・丹塗の塗直し」
中陣と外陣は柱や内法長押(うちのりなげし)を朱漆塗、頭貫やそれより上の組物を丹塗、建具等を黒漆塗としています。
現状の塗装は主に前回の修理で塗り替えたものであり、煤等の汚れが付着したり、塗膜が剥落しているため、全面の塗直しを行います。
彩色の洗浄剥落止
中陣天井絵「洗浄剥落止め」
中陣の天井絵は、煤などの汚れで黒変しているほか、塗膜が剥落していますが、建立当初の彩色が残っていると考えられるため、汚れを可能な限り落して、古い塗膜を再度接着する、剥落止めを行います。
内陣中陣境 欄間彫刻
内陣と中陣の境にある欄間彫刻は、現在は煤や埃が表面に堆積しています。
今回の修理に先立ち一部の汚れを取り除いたところ、欄間彫刻については、何度か塗り直されている形跡が確認されました。
修理の時期や、当初の塗り分けなど、今後さらに詳細な調査を行い、修理方法を決定する予定です。
柱・軒廻り・床下の木部修理
柱修理
柱の足元が腐朽しているものや、柱の外周部分が破損しているものがあるため、傷んだ箇所のみ取り替える、根継ぎ修理や、矧木(はぎき)修理を行います。
軒廻り・床下修理
屋根の軒廻りは、経年により軒先に乱れが生じているほか、腐朽している部材もあります。
軒の乱れを補正し、腐朽箇所の繕い修理を行います。
床下は腐朽している床板や根太などの床組材の繕いまたは、取替修理を行います。