比叡山延暦寺は、千二百年の長い歴史において幾度となく自然災害や戦乱の苦難に見舞われました。しかしその都度、堂塔伽藍を再建や修繕を行い、あるいは仏像や聖教は安全な場所に避難させるなど、先人がたの努力によって数々の宝物が守り伝えられてきました。
現在も延暦寺では、仏像・絵画・聖教・建造物など文化財の修理保存事業を継続して行っています。さらに、平成28年(2016)からは約十箇年にわたり、根本中堂の大改修事業が現在も行われており、中堂内陣に安置されている仏像の修復も順次進めております。
本企画展では、比叡山における文化財保存修復の歴史と共に、根本中堂大改修をはじめ文化財の保存修理事業の現在について紹介していきます。この企画展示をご覧いただくことで、延暦寺の寺宝の数々を守り伝えた人々の想いや文化財修復の取り組みに対して、皆さまの理解を深めていただく良い機会となれば幸いです。
展示期間
令和6年4月20日(土)~6月17日(月)(前後期で一部入れ替え)
前期:4月20日~5月17日
後期:5月18日~6月17日
※展示替えのため、4月19日、6月18日は休館になります。
会場
十二神将立像(午神)
解体修理時の写真
護法童子立像
像内に納入されていた
不動明王立像
県指定 阿弥陀八大菩薩像
(本願講本尊)
当麻曼荼羅(観経変相図)
展示構成
近代以前の宝物管理と修理記録
- 宝物の保存と管理(宝物目録など)
- 寛永の大修理(東塔諸堂建立宣旨・諸堂立面図)
- 江戸時代の仏像・仏画・工芸等の修理(七条仏所・木村了琢・浜岡道泉)
明治時代の社寺保存と修理
- 宝物調査記録(鑑査状など)
- 近代以降の修理記録(美術院の修理記録など)
文化財修理の現在
- 近年の修理内容を紹介(修理道具の展示)
- 新発見
主な展示作品(予定)
書跡
- 鑑査状 86通、明治24年(1891)~26年(1893)
- (重文)山門再興文書 2通2巻 桃山~江戸時代
- (重文)道邃和尚伝道文 1巻、平安時代
絵画
- (重文)日吉山王曼荼羅 1幅、南北朝時代
- (県指定)阿弥陀八大菩薩像 1幅、高麗時代
彫刻
- 十二神将立像 10躯、鎌倉時代
- 護法童子立像 1躯、鎌倉時代
工芸
- 勅封唐櫃 1基、明治24年(1891)
- 2024.03.18