伝教大師最澄の開いた天台宗では、法華円教の教え中心に、密教、禅、大乗菩薩戒の四宗兼学を旨とします。釈尊が経典に説いた教えを「顕教」というのに対し、「密教」は言葉に尽くせない秘密に説かれた深遠な教えのことで、さとりに至る手立ての一つとして、宇宙の真理や仏の世界を表した曼荼羅(マンダラ)が用いられます。
本展観では、比叡山に伝わる両界曼荼羅をはじめ、別尊曼荼羅や垂迹曼荼羅などのさまざまなかたちの曼荼羅や、密教経典、密教法具を一堂に集め、紹介していきます。この展示を通じて、神秘に満ちた曼荼羅や密教の世界、さらには比叡山の仏教美術に触れていただく良い機会としていただければ幸いです。
両界曼荼羅(胎蔵界)
両界曼荼羅(金剛界)
仏眼曼荼羅
重文 金銀鍍水瓶
主要な展示品
絵画
- 両界曼荼羅 二幅、室町時代(応永24年)、滋賀院蔵(前期)
- 両界曼荼羅 二幅、鎌倉~南北朝時代(後期)
- 仏眼曼荼羅 一幅、江戸時代(後期)
- 県文 日吉山王本地仏曼荼羅 一幅、鎌倉時代(前期)
- 観経変相図(当麻曼荼羅) 一幅、鎌倉時代(前期)
工芸
- 重文 金銀鍍水瓶 一口、鎌倉時代、弘法寺蔵(通期)
特別出陳
- 国宝 光定戒牒 嵯峨天皇筆 一巻、弘仁14年(823)(4月16日~5月8日まで)
- 2022.04.28