梵字とは古代インドで用いられたサンスクリットをあらわした文字のことで、悉曇(しったん)とも言います。仏典などを通じて中国に入り、やがて日本に伝えられました。平安時代以降、入唐僧によって伝えられた梵字は神秘的意義を重視する傾向を強め、結果的に仏教美術の中に表現されていくようになります。
この企画展では、仏画、書跡、工芸など梵字をあらわした比叡山の仏教美術を紹介し、梵字表現の歴史的変遷やその信仰について考えていこうというものです。
金銅蓮唐草透彫種子華蔓
悉曇蔵(8巻)
両界種子曼荼羅 胎蔵界部分
主要な展示品
絵画
- 両界種子曼荼羅 二幅、絹本着色、南北朝時代(14世紀)
- 仏眼金輪種子曼荼羅 一幅、絹本着色、室町時代(15世紀)
- 阿字観本尊 一幅、紙本着色、江戸時代 天明3年(1783)
書跡
- (国宝)伝教大師請来目録 一巻、唐時代(9世紀)
- (重文)悉曇蔵 八帖、平安時代 応徳2年(1085)
- 在唐記 前唐院 一帖、平安時代(12世紀)
工芸品
- 種子刺繍幡 四旈、江戸時代(17世紀)
- 金銅蓮華唐草種子華鬘 二枚、江戸時代(17世紀)
- 2019.07.18